四月十日は一の宮、天津神社のお祭りだ。私が小学生の頃、祭り当日は短縮授業だったように思う。それとも校長先生のお話だけ聞いたのかもしれない。とにかく登校したら早目に帰ってきた。
 そして浮き浮きと天津神社に出かける。参道には露店が並んでいて、イカ焼きや焼きトウモロコシのいい匂いが漂っている。赤いリンゴ飴やチョコバナナも誘惑の声をかけてくるが、小遣いは限られている。
 ハッカパイプのお店を探す。参道だけではなく、境内にも露店はたくさん出ている。でも最初に見つけたお店で買っていた、うれしくて待ちきれなくて──
 パイプの先にはキューピーとか、漫画やテレビの人気者がついていたから迷う。やっと選んでお金を払うと、店のおじさんはブリキ缶の蓋を開けて、一掬いの砂糖をパイプの中へ入れてくれる。紐は最初からついていたか、それともおじさんがその子に合わせて調節してくれたか、それは覚えていない。
 首にかけ、大事に大事に少しずつ吸ってハッカの味を楽しむ。とうとうおしまいになったら、きれいに洗って、今度は笛として使う。
 祭りの後まで残るから、これが大好きだった。